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3 現図画法の順序

一般的な画法の順序はまず床面上に基線(べースライン)を引き、次いで線図の主要寸法に示される間隔に、各水線、縦戦線(バトックライン)、そしてオーヂネートを入れる。正面線図(ボディプラン)は床面に余裕があれば別の場所に描いた方が、後で順正(フェアリング)や局部的な切断及び展開をする際に線が安さくしないので分り易い利点があるが、床面に余裕のない場合は船体中央の同一床面に水線のみを共用して描く例が多い。
次に船体寸法表より読取った各オーヂネートにおける寸法により、まず甲板玄側線、チャインライン(角型の船のみ)及びキールラインの3本を側面及び平面に描き入れ、現図に描かれた各オーヂネートの幅及び高さの各寸法を定規に写し取り、この寸法を正面線図にマークし、其の点をバッテンで結んで描き入れると、正面線図に玄側、チャイン及びキールの各曲線が表現される更に各オーヂネートのウォーターライン及びバトックラインの寸法を船体寸法表より読みとり、その数値をボディプランにマークしバッテンで各点を結ぶ線を入れると、各オーヂネートの正面図ができ上る(修正要領は後で述べる)。
正面線図が描き終ったら、各オーヂネートにおけるウォーターライン及びバトックラインを定規にマークし、平面及び側面にその点を描き入れ、バッテンで結べばウォーターライン及びバトックラインができ上る。各線のフェアリングが終ってから木型用のフレーム(木船の肋骨に相当)の位置を平面及び側面に描き、その位置の幅及び高さを定規にマークして、正面図にオーヂネートの断面を描くのと同じ要領で描き入れる。以上で線図としてはでき上った訳であるが、小型のFRP船ではオーヂネートの位置と木型のフレーム位置を一致させる場合があり、この方が能率も上るので設計段階で考慮するとよい。次に線図を仕上げるまでの留意すべき要点を挙げる。
?@長い直線を引くときは、必ずピアノ線又はナイロン釣糸をもって強く張り、床面に3〜4mの間隔でマークしその点に墨打ちする。各水線及び縦戦線の間隔は特に入念に計り、必ず1回以上はチェックすべきである。
?Aオーヂネートの描き入れは、先ず中央部に大型ビームコンパスを使用して基線に対して直角に交る線を入れ、この位置を船体中央とし、これより前後に正しく等間隔に記入する全体の長さとオーヂネート間隔のチェックも必ずすべきである。
?Bフェアリング(順正)についての注意
船体寸法表に示されている数値は縮尺された図面より読取ったものであり、これを実物大に拡大すると多少の誤差が生ずるのは止むを得ない。寸法の読違いや書違いの個所は別として、各オーヂネイトの点を結ぶ線がばらついて点を通らない場合はなるべく修正量の小さい方に線を通すべきであるが、どちらとも判定のつかない場合や修正量の大きい場合は、浮心、浮面心及び排水量等に影響するため一応設計者の意向を聞き、前後につき(+)側か(−)側に修正するかを相談する必要がある。
?C丸型船型においては正面線図にダイヤゴナルラインを記入するとフェアリングに便利である。

 

 

 

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